④売却活動
〜広告出稿や内覧対応など活動がスタート〜
不動産会社と媒介契約を締結したら、いよいよ売却活動に入ります。
ここでは、不動産会社が行う売却活動の内容、内覧対応時のポイント、買主との条件交渉時の注意点などを紹介していきます。
それぞれの内容を理解して売却活動に臨みましょう。
不動産会社が行う売却活動とは
あなたの自宅を売却するために不動産会社は様々な手法を使って買主様を見つけてきます。
不動産会社によって多少の差はありますが、主な売却活動は下記のようなものになります。
☆不動産会社が行う主な売却活動
① 不動産ポータル(SUUMO、HOME’S、Yahoo!不動産、at-home等)へのネット広告
② 不動産流通機構(レインズ)への登録
③ DM、ポスティング
① 不動産ポータル(SUUMO、HOME’S、Yahoo!不動産、at-home等)へのネット広告
現在は前情報なしでの店頭来店は大手含めてほとんどなく、インターネットによる物件探しが主流となっております。
中古に限らず不動産の購入を検討しているほとんどの方が、不動産ポータルサイトをチェックしています。
集客力のある不動産ポータルサイトにはSUUMO、HOME’S、Yahoo!不動産、at-homeなど等があります。
上記、4サイトはスマートフォンアプリもあるので、非常に重要になってきます。
また、4サイトに登録をすれば、各社が提携したサイトにも自動的に情報が掲載されます。
<4サイトからの提携派生サイト>
現在はPC・スマートフォンの物件探し割合は半々もしくは、スマートフォンの方が上です。
これらのサイトに掲載するのは、早期にお客様を見つけるための必須条件と言っても過言ではないでしょう。
ただし、ここで注意が必要です。
☑チェックポイント
上記、4つの不動産ポータルサイトですが、全部の会社が全てに掲載しているわけではありません。
掲載しない理由としては、主には広告宣伝費の削減等になります。
Yahoo!不動産の掲載に関しては別の理由もあるのですが、内容が少し込み入った話になるので電話または訪問査定時にお伝えしております。
各サイトでの集客がメインになっている事はお伝えしましたが、その流れにより、不動産会社から各ポータルサイトに支払う広告料が大きくなっております。
そのため、支店が多い大手仲介会社等はHOME’S、Yahoo!不動産に掲載出来ない事が多くあります。
創業からまもなく、体力のない会社も掲載出来ていない場合が多くなります。
もし、これを知らずに専任媒介契約を締結してしまうと、大事な販売期間を棒に振る事になりかねません。
私が自宅を売却する立場なら、必ずここは確認します。
媒介契約を締結する前には注意が必要です。
また、ネットの掲載方法も重要になってきます。
詳細は訪問査定の時にお伝えするべき内容なのですが、今回は簡潔に比較する方法を記載しておきます。
不動産をネットでチェックしていると、よく外観画像がトップになっている場合があります。
ただ、多くの物件が競合しているなか、外観画像がトップだとインパクトに欠けます。
やはり、トップ画像は物件が一番魅力的な部分を掲載した方が効果的です。
私が実際にネットで掲載した写真を、以下に比較材料として掲載いたします。
↓他社が掲載した写真
↓私が掲載した実際の写真
いかがでしょうか?
多くの物件が一覧画面で並んだ時に、どちらを選択して詳細画面へ進むかは一目瞭然です。
一般媒介契約で他社と競合していた際の一覧画面写真も、以下に掲載いたします。
赤枠で囲まれているのが、私が掲載した写真になります。
数十件もの競合物件がある中で、見てもらうためには、このぐらい目立たせる必要があります。
② 不動産流通機構(レインズ)への登録
不動産流通機構とは、国土交通省が管轄している「不動産会社専用の不動産情報システム」のことで、通称レインズと呼ばれています。
特徴は不動産会社のみが閲覧できる不動産サイトであり、売主様・買主様を含め一般の方は見ることができません。
通常、不動産会社はこのレインズに売主様の自宅を登録して買主様を探します。
ちなみに専任媒介契約、専属専任媒介契約で売却依頼を受けた不動産会社は、不動産流通機構(レインズ)への登録が義務付けられています。
ただし、このレインズに登録すると不動産会社の受領する手数料が半減する可能性があり、意図的に掲載しない会社もおります。
この行為は慣習的に行われており、【物件の囲い込み】と呼ばれております。
※物件の囲い込みに関しては、ネットで検索すると内容を把握できます。
最近は、諸々対策がとられておりますが、やり方を巧妙に変えて行っている会社はあります。
勿論、私はこの内容を包み隠さず記載しているぐらいなので、【物件の囲い込み】を行っておりません。
この内容は初見の方には複雑なので、訪問査定の際に詳しく説明する内容となります。
③ DM、ポスティング
昔ながらのアナログ的な方法ですが、DM送付、ポスティングなどの活動も行います。
ただし、現在はネットでの集客率が大きいので、基本は行わず、有効とみられる物件にだけ行う方が効果的に思います。
私の場合は、この手法にウエイトをおかず、ネットの媒体を充実させ、その分の費用を仲介手数料から差し引く事をお勧めしております。
また、ポスティングで注意が必要なのは、本当に行ったか否かの実効性が確認出来ない点にあります。
このような事をいうと、不動産業界はブラックと思われるかもしれませんが、私が知っている不動産会社では、ポスティングを行っていないにもかかわらず、行った事にして業務報告をする会社はあります。
☆成功のポイント
●不動産会社が行う様々な売却活動の内容を理解する。
●売却活動を成功させる上で、メインのネット広告全てに差別化を図った掲載が必須条件。
※各社、掲載出来る媒体・掲載方法に違いがあるので、注意が必要。
内覧(内見)の対応をする
買主様は契約に至るまでに、少なくとも1回は内覧をします。
※内覧(内見)=室内を拝見する事
買主様は内覧で受けた印象によって、その物件を買うか、見送るか判断しますので、内覧時の対応は重要です。
特に居住中の内覧は注意をしなければなりません。
室内を整理整頓して、綺麗な状態にしておくのは勿論の事、生ゴミ等の匂いにも気をつけなければなりませんので、最低限の掃除をしておく必要があります。
基本的にお客様は複数の物件と比較検討します。
一日に4~5件のお部屋を内覧する事もあるので、第一印象が重要になってきます。
全ての電気をつけておいて、部屋を魅力的で明るく見せるといった細かなことも意外と重要です。
内覧に来る人は、売主様の不動産に、とても興味を持っています。
内覧者をお客様と思い、丁寧に迎え入れましょう。
☆成功のポイント
・居住中の内覧は、事前に室内を綺麗にしておく。
内覧者をお客さまと思って丁寧に迎えいれる。
売却価格を下げなければならない場合
売却活動していく中で思ったように反響が取れない(購入希望者からの問い合わせがない)場合、売却価格を値下げを検討しなければならない局面が出てきます。
※不動産用語で、お問合せ=反響と呼びます。
ほとんどの買主様は、立地、グレード、築年数以上に価格を一番に重視しています。
売主様がなるべく高く売りたいと思うように、買主様もなるべく安く買いたいものです。
売却価格を値下げする1つのタイミングとして、「売出しから3ヶ月経過後」が挙げられます。
不動産市況は3ヶ月ごとに変化するものと言われています。
また、専任媒介契約、専属専任媒介契約は、3ヶ月経過すると再契約のタイミングに当たるので、価格を見直しするにはちょうど良い時期になります。
不動産会社の担当者と、妥当な売却価格はいくらなのか打ち合わせを行い、売却戦略をねり直しましょう。
☆成功のポイント
●売却価格を値下げする良いタイミングの1つは、売出しから3ヶ月経過後。
●自宅が売れない理由の大部分は売却価格なので、マーケットの反応が悪い場合には、改めて妥当な売却価格はいくらなのかを不動産会社と相談して売却戦略を見直す。
購入希望者との交渉
購入希望者が現れても、現在の売却価格で購入してくれるとは限りません。
購入希望者が、価格の値引き等の条件交渉を要求してくる場合は多々あります。
不動産には定価というものがありません。
売主様としては、買い手からの条件交渉は当然という心構えと、価格設定をする必要があります。
ただし、全ての条件交渉に応じる必要はありません。
売主様の方で条件交渉をする場合としない場合、どこまでだったら値下げに応じるかを事前に決めておけば良いのです。
判断材料としては、まず購入希望者から「購入申込書(買付証書)」を提示されていることが大前提です。
「購入申込書」という書面で購入の意思を提示してくる場合、購入する本気度は高いと判断してよいでしょう。
※現住所・氏名等を記載するため
更に、購入希望者の本気度を確かめる材料として、住宅ローンの事前審査を申請しているかどうか確認しましょう。
住宅ローンの事前審査は、具体的に購入検討している物件を金融機関に提示し、申請する必要があります。
※通常、事前審査の結果は2~3日で白黒つきます。
ローンの事前審査が通れば、「購入希望者は経済的な与信は問題なく、購入する資金を確保できる」と判断できます。
売主様の許容できる範囲の値引き交渉を持ちかけられたら、これらの材料で購入希望者の本気度をチェックしてみましょう。
☆成功のポイント
●購入希望者からの条件交渉は当たり前という心構えを持ち、いざ交渉となった時のため、事前に値下げできる売却価格の許容範囲を決めておく。
●購入希望者の購入本気度を確かめるには、「購入申込書」と「住宅ローンの事前審査」の2点が有効。