不動産売却の流れ①

①事前準備
〜知っておくべきこと、決めておくべきこと〜

 

まずは、売却活動に入る前に知っておくべきこと、決めておくべきことを紹介します。

 

売却をする理由をあらためて整理する

 

まず、ご自身が不動産を売却する理由は何でしょうか?

 

(1)「転勤が決まった」

(2)「2LDKから3LDKに引越したい」

(3)「隣の部屋が新築時より高い値段で売れたから興味がある」

(4)「急に現金が必要になった」

(5)「住宅ローンの支払いが厳しくて賃貸に住み替えたい」

(6)「相続したので売却したい」

など、ひとりひとり事情は異なると思います。
なかには他人に知られたくない事情があるかもしれません。

 

しかし、不動産売却を成功させる上で、売却理由を明確にすることは必須条件です。

中古不動産の購入者は売主様が思っている以上に、売却理由が気になっています。

 

中古不動産の取引で失敗したくないのは売主様も買主様も同じです。

 

逆の立場になると感じますが、売ろうとしている物件について「なにか気に入らない点や欠陥があるから売るのではないか?」、「住みにくい環境だから売るのではないか?」など、あれこれ考えてしまいます。

 

売却理由を聞かれて、曖昧に答たり、ちぐはぐな回答をしてしまうと、不動産会社も買主様も不審に思ってしまいます。

言うのに抵抗がある理由でも勇気を持って正直に伝えましょう。

 

また家族や親族など、ご自宅の売却に関係する人と事前にしっかりと話し合っておくことも大切です。


【奥様が近所づきあいや学区の問題で最後まで引っ越しをためらっており、売却が中止になる】、【買換え先で同居を予定であったり、資金を援助してもらうはずの親の反対にあって、売却が中止になる】といった話はよくあります。

 

売却の理由や住み替え先については、事前にしっかりと周囲の人と話し合い、同意を得るように心がけましょう。

成功のポイント

●隠し事は不要。
売却理由を明確にして、ありのままを不動産会社に伝える。
●ご自身の物件を購入する人は、ご自身が売却する理由を知りたがっている。
●家族や親族としっかりと話し合いをしておく。

 

 

相場価格を知っておく

 

ご自身のマンションや戸建に一体いくらぐらいの値段がつくのか。

売却を不動産会社へ依頼する前に漠然とでも、相場価格を頭の中に入れておくことが大切です。

 

売主様が相場価格を知っているのと知らないとでは、不動産会社の対応も違ってきます。

ご自宅の相場を把握していれば、売却する時の売出し価格が妥当かどうか判断できますし、不動産会社と対等な立場で意見交換ができます

実際、売却活動を不動産会社に丸投げしてしまうと、不動産会社の言われるままに進んでいってしまいます。

 

現代では、マンションや戸建の相場を知るために様々なやり方があります。

一昔前であれば、わざわざ不動産会社に出向いてアドバイスを受ける必要がありました。

しかし、今は誰でも簡単に自分の不動産の価格を調べることができます。


不動産ポータルサイトなどで、自宅マンションや近隣の戸建の売出しを見てみるだけでもかなり相場感が養われますし、一括査定サイトで価格査定をするサービスもあります。

成功のポイント

●事前に不動産の相場を把握することで売出し価格の妥当性を判断でき、値付けミスによる売却活動の失敗を防げる。
●今は便利・簡単・無料で不動産の相場を知ることができる。
便利なツールはどんどん利用して売主様自身も相場感を身につけることが大切。

 

 

売るのが先か?買うのが先か?

 

ご自宅を売却後は、「新居を購入する」または「賃貸に住み替える」のどちらかに当てはまる方が大半だと思います。

 

新居の購入を伴う売却活動の場合は、
(1)「今の家を先に売却する=売却先行」
(2)「新居を先に購入する=購入先行」かを考えなければなりません。


ローンを完済していれば別ですが多くの場合、住宅ローン事情との兼ね合いが大きく影響します。

 

それぞれのメリットデメリットを把握したうえで売却のタイミングを決めましょう。

 

売却先行のメリットとデメリット

 

メリット

 

①事前におおよその売却価格が把握でき、新居購入の予算が立てやすい

②家が売れると分かってから新居を買うので安心(ダブルローンを避けられる)

③ご自宅の売却で得た資金を新居の購入資金に充当できる。
売却で手元に残る金額が、購入物件価格より高ければ、新たに住宅ローンを組む必要が無い

 

デメリット

 

④ご自宅売却後から、新居へ引越すまでに一時的な仮住まいが必要(2~3ヶ月で新居を購入する場合や引渡し期間を長くとった場合は別)

 

 

購入先行のメリットとデメリット

 

メリット

 

①ご自宅の売却活動に左右されず、納得がいくまで新居探しができる

②仮住まいの必要が無い(売却先行の場合は仮住いが必要な場合がある)

③新居に引越後は自宅が空室になるため売却活動がスムーズ(いつでも内覧ができるなど)

 

デメリット

④ご自宅の売却資金を購入資金に充当できない。別途購入資金を用意する必要がある

⑤場合によってはダブルローンになる可能性もある

 

買い替え、賃貸へ住み替えを問わず、住み替えのスケジューリングは不動産会社の得意とするところです。

ローンの残債や返済額、ご自身の希望のスケジュールを伝えた上で、実現可能かどうか、信用出来る
不動産会社のアドバイスを参考に進めていきましょう。

 

成功のポイント

●優先すべきは自分の「経済状況」と「生活スタイル」。
売るのが先か、買うのが先か、それぞれのメリット、デメリットを把握して決断する。

 

 

引渡しの時期をいつ頃か考えておく

 

ご自宅の売却活動で最後にやってくるのが「引渡し」です。


引渡しとは、その名の通り、ご自宅を買主様に引き渡すことです。

具体的には、玄関の鍵を渡し、入居できるようにし、不動産の所有権を買主様の名義に変更します。

 

売却活動の後半でよく出てくる言葉に「決済」や「引渡し」がありますが、「決済」は買主様が不動産の残額を売主様に支払うことであり、「引渡し」は売主様が不動産を買主様に引き渡すことを意味します。

よく勘違いされやすいのですが、一般的な売買契約では、契約と引渡しを同日に行う事は多くありません。



理由としては、売買契約後に買主様の住宅ローン本審査手続き、もしくは売主様の住宅ローンの繰上一括返済手続きを行うことになるからです。

契約日から引渡し日までは、大体1ヶ月~3ヶ月の期間を要します(半年~1年の長期間も可能)。


ご自宅の引渡し時期は、売主様だけでなく、買主様にも大きな影響が出ますので、不動産会社に売却活動を依頼するまでには考えておく必要があります。

 

住み替えを伴う売却活動では、住み替え先への引越しのスケジュールに合わせて引渡し日を決める必要があります。



ただし、売主様にとって契約日から決済までの期間を意味なく長引かせるのは、危険負担条項の理由からも、あまりオススメはできません。



どのタイミングで、ご自宅を引き渡すべきか慎重に検討しましょう。

成功のポイント

●不動産売却の最後は「引渡し」にて完結する。
●売主様にとって、契約日から引渡し日まで期間を長引かせるのは要注意。
住み替えのタイミングと両睨みで、ベストな引渡しの時期を決めよう。

 

 

売却に必要な諸費用について知っておく

 

不動産売却では、売主様(ご自身)が負担しなければならない諸費用が発生します。

 

どのような費用が掛かるのか事前に把握しておきましょう。ここでは全体のイメージを掴んでください

 

(1)売却時に必要な諸費用


・仲介手数料(媒介契約を締結した不動産会社に支払います)


・印紙代(印紙税という税金で、売買契約書に貼付します)

 

(2)必要に応じて発生する費用


・登記費(ご自宅の住宅ローンが残っている時の抵当権抹消費用で、司法書士に支払います)


・譲渡税(売却によって利益が出た場合に支払う税金で、所得税と住民税があります)

 

仲介手数料や印紙代など、ほとんどの場合発生する費用の他に、不動産を売ることで利益=譲渡所得が出た場合は、その利益に税金=譲渡税がかかり、確定申告が必要となります。

 

ただし、条件を満たせば「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」を使用でき、売却した利益に税金が発生しなくなります。

しかし、「3,000万円の特別控除」を使用し、すぐに住み替え先を購入する場合には、一定期間「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」が使用できなくなるので、注意が必要です。

 

譲渡税は不動産を高く売却して利益を出そうとしている方には気になるポイントだと思います。

譲渡税の計算方法はなかなか複雑です。

 

不動産を所有してた期間が5年以下であれば[短期譲渡所得]、5年超の場合は[長期譲渡所得]となって税率が異なる上に、特別控除や復興特別所得税も絡んで来ます。


譲渡所得の計算も一筋縄ではいきません。

建物の減価償却なども絡むので簡単に計算することは難しくなります。

 

通常、税務相談は税理士の独占業務となります。

ただし、仲介に必要な範囲では説明しても問題ないと判例が出ております。

 

確定金額は税務署や税理士にお聞きいただく形になりますが、仲介会社の担当によっては概算を算出できます。

 

成功のポイント

●不動産売却には仲介手数料や税金等の諸費用がかかる。
●条件を満たせば「3,000万円の特別控除」が使用でき、売却益に税金が発生しない。

 

 

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